2019年に本屋大賞を受賞した本作。
今年映画化もされ、永野芽衣と田中圭、石原さとみの配役がピッタリだと話題になっていますね。
原作が気になる方も多いと思いますのでレビューしていきます。
まず確実に言えることは、「この本好き!」という人間は恐らく優しい奴だ!
・ハラハラ系よりも平和な物語が好きな人
・家族の感動ものが好物な人
・あったかい気持ちになりたい人

無害で読みやすいので、中高生や読書が苦手な人にもおすすめ!
目次
『そして、バトンは渡された』あらすじ
血のつながらない父と娘の二人暮らし
高校生の森宮優子は、血のつながらない父親と2人暮らし。
優子は父親を「森宮さん」と呼び、森宮さんは娘を「優子ちゃん」と呼びます。
優子は目立ちたがり屋な方ではありませんでしたが、高齢者施設での交流会、球技大会や合唱祭、周りに流されながらも高校行事ではなにかと中心にいて、そして男子生徒にモテます。
ただし、全てうまくいくという訳もなく女子同士のゴタゴタ、成績、受験、森宮さんとの喧嘩…何かにつまずく度に優子なりに考えながら日々を歩んでいきます。
優子の母は2人、父は3人

優子には森宮さんだけでなく親が5人います。
17歳になるまでにお母さんが2人、お父さんが3人、苗字は4回変わりました。
かなりユニークな家庭環境です。
バトンとは何か?家族の真実
時が経ち成人した優子は、自分の結婚を機に会えなくなった父母達を探す旅に出ます。
その旅を通じて、確かに愛されていたの何故会えなくなってしまったのか、ずっと不思議だった父母との真実が明らかになっていきます。
少し変わった親子の真実と、バトンの意味とは。。
…
そんなお話です。

瀬尾まいこさんの本は複雑な家庭環境が良く登場しますが、ここまで派手なのは初めて読みました!
『そして、バトンは渡された』面白かったところと考察
優子、冷静過ぎて仏かよ!

幼少期から親の再婚と離婚、家族との別れを経験し、高校ではクラスメイトとのゴタゴタ、そして森宮さんとの喧嘩…
幼い頃から処理しきれないような悩みの種を何度も何度も抱えてきた優子のすごい所はいつだって冷静に対処していくところです。
めちゃくちゃ複雑な家庭を何度も経験してきたのに優子はグレもせず、男にも走らず、引きこもりもしません。
決して冷酷だったり心が無いのではなく、優子はいつも周りに感謝し、相手を許し、そして愛されていました。

自分が恥ずかしい。
優子は高校生にしてまるで仏です。
まだ10代の優子の冷静さや大人っぽさの秘密はどこにあるのか?
その謎を解明しました。
優子はどんな状況でも自分に「大切なものは何?」と問いかけることを怠らないのです。
高校生にしてずいぶん哲学的な優子ですが、幼少期のある経験が彼女をそうさせます。
優子は幼少期に自分で選んだ選択から、親と離れ離れになってしまったことがありました。何度も泣き悔やんだその経験から「大切なものを見落としたくない」という教訓を得たのです。
だからこそ、何があっても冷静に自分に問いかけます。

私なら自力で乗り越えられるような経験じゃないし、やっぱり優子は凄い。
優しさと不器用さが滲みでる食事に、腹が鳴る
本作では優しい人が沢山登場するのですが、中でも読者がきっと好きになってしまう人物は優子の現在の父親である森宮さんです。
何かとトラブルに苛まれる優子を励ましたり支えようと奮闘する森宮さんですが、
時々言うことやることがズレていて、必死さも相まって森宮さん頑張れ~と笑えてきます。
中でも微笑ましいのが食事の場面。
主に森宮さんが用意する食事は、始業式の朝ごはんにはカツ丼(※始業式)、女子のゴタゴタの最中には連日餃子、何かと理由を付けて買ってくるデザートなどなど。
から回ったり、ズレている時もありますが、頭の中は常に優子が中心にいる、森宮さんが作ったり用意する食事には彼の真っ直ぐな人柄がモロに出ているなと思いました。

人と一緒にご飯が食べたくなります。
グゥ~~・・・
読んだ感想:身近な人がいとおしくなる。
他人の子供で、更にシングルファーザー、その上で父親歴3年の森宮さんがどうしてここまで優子に愛情をかけられるのか?
読んでいてそこに引っかかっていたのですが、森宮さんがかつての妻から受け継いだ「親であることの考え」に感動しました。
「明日はちゃんと二つになったよ。自分のと、自分のよりずっと大事な明日が、毎日やってくる。すごいよな
…
どんな厄介なことが付いて回ったとしても、自分以外の未来に手が触れられる毎日を手放すなんて、俺は考えられない」

胸がじーんとしました。
この一冊を読んで、家族や恋人、大切な人の幸せに関わる上でずっと覚えていたいと思える素敵な考えや言葉を沢山見つけることができました。
身近な人を抱きしめたくなる。
そんな本でした。
映画が気になった方も、自粛期間で家族と過ごす時間が多い今だからこそおすすめしたい一冊です。
私はこの本が好きな人と仲良くなりたいです。
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