村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
瀬尾まいこさんなど、ほのぼの系小説を読んできた私にとっては、初めて得られる感覚を体験できる面白い本でした。
村上春樹は全くの初心者なりの感想を紹介していきます。
・文学が詳しくない人間の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の感想
・村上春樹初心者による、本作品を楽しむちょっとしたコツ
目次
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」をおすすめしたい人
- ノルウェイの森で挫折した人
- ゆっくり読書できる時間がある人
- 長編小説が好きな人
- 村上春樹に挑戦したい人
- 幻想的な小説を読みたい人
- (睡眠時に見る方の)夢を見たい人
- 考えるより感じる派の人
長編小説をガッツリ読みたいひとや、村上春樹の世界を味わってみた人にはおすすめ出来る作品です!
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」どんな小説?
本作の大きな特徴としては、2つの世界が交互に語られること。
タイトルの通り、「ハードボイルド・ワンダーランド」という世界と、「世界の終り」という世界です。
それぞれなるべく簡単に解説していきます。
登場する人ともの。
「私」…計算士という職業で、ある博士から仕事を頼まれる。
計算士…データを扱う職業で脳内でデータを解析、暗号化などを行う。計算士は公的な職業なのに対して、裏組織に属す記号士と対立関係にある。
博士…私に依頼をしてきた老人。手の込んだ異様な建物の中に孫娘と住んでいる。
ピンクスーツの女…博士の孫娘であり、たくましくてめっちゃ強い。
シャフリング…計算士の私が習得している技術。禁止されていたはずのシャフリングを「私」は博士の依頼で使用する。
「僕」…壁で囲まれた異世界「街」に住むことになった。最近ここにやって来たのだが、過去の記憶がない。
影…僕の影だったが、街に入る時に僕から引き剝がされた。他の住人も同じように影がない。
街…争いも金銭も存在しない平穏な場所だが、皆が影を無くしていて心を持たない。
街の住人…一人一人、街に存在する役目としての仕事や、過去を持っている。僕は「夢読み」を仕事として特殊な目を手に入れ、日の光に当たれなくなった。
壁…街を取り囲む存在。物理的にも精神的にも重く大きく近づいてはならないと言われている。僕と影は力を合わせてこの壁から脱しようと試みる。
二つの世界は交わることはなく、それぞれ物語が進みます。
本作は上下に分かれていて、40章からなる長編小説です。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」 読んだ感想
この小説の一番の魅力は、描写や比喩が鮮明さだと感じました。
例えば暗闇の中をひたすら歩くシーンでは、
暗闇の中で自分が目を閉じているのか開けているのか分からなくなってくる様子や、歩く動作にゲシュタルト崩壊してくる心理状態めちゃくちゃ鮮明に書かれています。

暗闇でひたすら歩くなんてやったことないけど、その描写がもの凄くリアルで疑似体験している感覚になりました。
不思議なストーリーや変な人が沢山登場しますが、描写や比喩めちゃくちゃリアルなおかげでつっかかることなく、どんどん読めました。
「スト―リーは不思議だけど、感覚や精神状態は鮮明に感じる」
この感じ、夢を見ているみたいと思いました。

ほんとに気付いたら眠ってました
夢を見てるとき、感覚や感情だけ鮮明に感じてはいるけど、根本的なストーリーあり得ない設定でも気にならないですよね。
「現実離れした世界」と「鮮明な感覚」が共存している本作を読んでいると、夢の中にいるみたいな不思議な感覚に陥りました。
不思議な設定やストーリーを読むのって結構ハードですよね。
私は読むのは遅く、設定がこんがらがってくると読めなくなるタイプです。
それでもこの本は面白がってどんどん読めたのは、描写の表現力のおかげでスルスル入ってきたからでした。
本書を楽しむコツは頭で考えるのではなく、感じること。
設定がどうなっているか?あり得る?どういう意味?など難しく考えず、描写をとにかく楽しむことをおすすめします。
日常的な小説が好きな人こそ面白い体験ができるかも
瀬尾まいこ、小川糸など日常系の小説を読むことが多い私にとって、
まるで夢を見ているように読書をできたことは、初体験でとても面白かったです。
ちなみに超有名な「ノルウェイの森」は上巻で挫折しましたが、これは最後まで楽しく読めました。
「ノルウェイの森」と比較すると、情景の描写よりも感覚の描写が多いためか読みやすかったように思います。
頭で理解しようと考え過ぎず、音楽を聞くように表現に注目して読みんでみてください。
私と同じような不思議な感覚を楽しめるかも知れません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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